屋根に使用される塗料には、さまざまな種類があり、塗料毎によって特徴も異なります。
塗り替えを検討している屋根にどんな塗料を使用すればいいのか、塗料を比較して特徴を知ることで、メンテナンスの頻度や高機能などの塗料を選ぶことが可能です。
それでは、屋根用に使用される塗料の種類についてご説明しましょう。
屋根用塗料:樹脂別の種類
屋根用塗料に使用される樹脂別の種類は、以下の通りです。
1.アクリル塗料
2.ウレタン塗料
3.シリコン塗料
4.アクリルシリコン塗料
5.セラミックシリコン塗料
6.フッ素系塗料
7.無機塗料
それでは、屋根用塗料に使用される樹脂別の種類について、それぞれご説明しましょう。
1.アクリル塗料
アクリル塗料は、さまざまな塗料の中でも最も値段が安いのが特徴です。
1㎡あたり1,500円前後が相場であり、塗装費用を安く抑えたい時におすすめの塗料です。
しかし、耐用年数は5年~7年と比較的短く、早々に塗り替える必要性が出てきてしまうのがデメリットです。
また、アクリル塗料は紫外線に弱い特性があります。
紫外線によって劣化が早まることから施工より3年ほどで徐々に塗装が剥がれ始めてしまいます。
ですが、カラーバリエーションは豊富で、一般的にDIYでも使われているなど施工しやすいので、幅広い用途で使用されているのがポイントです。
2.ウレタン塗料
ウレタン塗料はアクリル塗料の次に価格が安く、耐用年数が8年と長持ちするのがメリットです。
アクリル塗料と比べてツヤと光沢感が出せるので高級感のある仕上がりになりますし、柔らかく弾力があります。塗膜が硬いとひび割れしやすくなるのが問題ですが、ウレタン塗料なら柔軟性や弾力に優れているので、ひび割れしにくいのがポイントです。
ただし、アクリル塗料と同様に紫外線に弱いので、早々に劣化することがありますので注意しましょう。
3.シリコン塗料
シリコン塗料はさまざまな塗料の中でも人気が高く、価格と耐用年数のバランスが非常に優れているのが特徴です。
価格は1㎡あたり2,000円~3,500円程度が相場です。
耐用年数は13年程度長く、耐久性、耐水性、耐熱性に優れています。
雨水や湿気で屋根が劣化するのを効率良く防いでくれるので、塗り替えの頻度が少なく済むでしょう。
とはいえ、シリコン系は幅広く普及されていることから、さまざまなグレードが存在します。
グレードによって耐久性や費用、機能が異なるため、施工する前にグレードを確認する必要があります。
4.アクリルシリコン塗料
アクリルシリコン塗料はアクリル成分にシリコン成分を混ぜ合わせた塗料です。
アクリル塗料とシリコン塗料の2種類のメリットが発揮されるのが特徴です。
シリコン塗料よりも価格が抑えられる上に、アクリル塗料よりも耐久性や耐候性に優れています。
しかし、耐用年数は9年程度なので、塗り替え頻度のタイミングには注意しましょう。
5.セラミックシリコン塗料
セラミックシリコン塗料はシリコン成分にセラミック成分を混ぜ合わせた塗料で、セラミック粒子を配合したことで耐候性がさらに上がり、さらに優れた耐久性が実現できます。
耐用年数は15年程度と高く、低汚染性や防カビ効果もあるので、屋根が汚れにくくなり美観を維持することが可能です。
6.フッ素系塗料
フッ素系塗料は優れた耐久性によって塗り替え頻度が少なくなるのが大きなポイントです。
その耐用年数は約18年と非常に高く、価格が高くなったとしても施工する価値は十分にあります。
また、フッ素系塗料には親水性があるため、雨が降ると屋根に付着したホコリやごみ、汚れなどを自動的に洗い流す性質も持っているのがメリットです。
7.無機塗料
無機塗料とは有機物に無機物を加えた塗料で、価格も耐久性も最も高いのが特徴です。
価格は1㎡あたり4,500円~5,500円と高めですが、耐用年数は20年~25年と最も高いです。
セラミックやケイ素といった有機物に、ガラス、石、鉱物などの無機物を含んでいます。
無機物も一緒に含まれていることから、コケやカビが発生しにくく、耐火性にも優れており、経年劣化しにくいといった特徴があります。
塗料の機能別の種類
遮熱、断熱、高耐久性、光触媒といった機能を持つ塗料があります。
機能面を重要視して塗料を選ぶ場合は、それぞれの塗料にどんな特徴があるのか知ることが大切です。
それでは、塗料機能別の種類についてご説明しましょう。
遮熱機能のある塗料
遮熱機能がある塗料は、断熱塗料のように住宅から熱を逃がさないようにするものではなく、外からの熱が住宅に伝わりにくくするための塗料です。
屋根に遮熱塗料を塗布することで太陽光を反射してくれるため、屋根の表面温度を下げて室内の温度が上がるのを防ぐ効果があります。屋根材の仕様によっては熱伝導率が高いものもあるので、温度が上がりやすい屋根材の場合は遮熱機能がある塗料がおすすめです。
とはいえ、遮熱塗料は夏場などの暑い時期には効果を発揮しますが、部屋を暖めたい寒い時期には機能性の高さが仇になる可能性があるのがデメリットです。
冬場などの寒い時期は部屋を効率良く暖められるかどうかが大切ですが、遮熱塗料による遮熱機能が高いほど屋根からの熱が伝わりにくくなるので、部屋が十分に温まりにくい可能性があります。
断熱機能のある塗料
断熱機能がある塗料は、住宅から熱を逃がさないようにするための塗料であり、エアコンの冷暖房効率を上げるといったメリットがあります。
室内から室外に熱や冷気を逃がしにくくなるので、夏場でも冬場でも関係なく冷暖房効率が上がります。
したがって、必要以上に温度を上げたり下げたりする必要性がなくなるため、電気代を抑えることが可能でしょう。
高耐久性機能のある塗料
高耐久性機能がある塗料は、基本的に耐用年数が高い塗料を指して呼ばれます。
主にフッ素塗料や無機塗料が該当するため、高耐久性機能を求めるならフッ素塗料や無機塗料などを選ぶのがおすすめです。
高耐久性機能の塗料は、基本的に屋根材にピッタリ吸着するので剝がれにくい特徴を持っており、頻繁に塗り替える必要性がありません。
張替えの頻度が少なくなることでコストカットにも繋がるため、長期的にコストを抑えていきたい時にもおすすめです。
光触謀機能のある塗料
光触媒機能がある塗料とは、化学変化を起こす触媒を混ぜ合わせることによって、セルフクリーニング機能を搭載させているのが最大の特徴です。
紫外線に反応することで自浄作用が働き、屋根に付着した汚れなどを自動的に分解して汚れにくくするのがセルフクリーニング機能です。
主な成分として酸化チタンが使われているものの、これは化粧品や食品の着色料にも含まれていることがあるので、人体への影響を心配する必要性がありません。
光触媒塗料にしたことでお手入れにかかる手間や時間を大幅に削減できた事例もあるため、メンテナンスの頻度が減らせるのも大きなポイントです。
耐用年数も15年~20年程度とされており、長持ちしやすいでしょう。
ただし、光触媒塗料は塗装後の塗膜が硬くなるため、ひび割れが発生しやすいのがデメリットです。
また、セルフクリーニング機能が搭載されているといっても落とせるのは軽い汚れ程度なので、汚れがひどい場合はセルフクリーニング機能が働きにくくなります。
屋根塗装の塗料は水性系と油性系がある
屋根塗装の塗料には水性系と油性系の2種類があるのをご存知でしょうか?
水性系と油性系のそれぞれに特徴があり複数の種類があるので、どちらが屋根塗装に使用した方が良いのか判断に迷われると思います。
それでは、屋根塗装における水性系と油性系の特徴や種類についてご説明しましょう。
水性塗料の特徴
水性塗料とは塗料の主成分が水でできており、油性塗料のような独特なシンナー臭がない環境に優しい塗料です。
◆水性塗料のメリット:臭いが少ない
水性塗料は油性塗料と違ってシンナー臭のような嫌な臭いが発生しないのがメリットです。
もちろん塗料の種類によっては臭いが発生するものもありますが、基本的に嫌な臭いを感じることなく施工できるのが大きなポイントです。
人体や環境に影響を与える有害なものは含まれていないため、施工中も作業員や近隣住民に迷惑をかけることもありません。
◆水性塗料のメリット:扱いやすく、価格も安い
水性塗料や油性塗料と違って扱いやすく、価格が安いのもメリットです。
水性塗料は溶剤と混ぜ合わせればそのまま使用できる1液型が多いため、誰が作業を行っても安定した品質が保てます。
固まる前なら水で洗い流すこともできますし、塗装作業に使用した道具も綺麗に洗い流せるのがポイントです。
さらに、油性塗料は有機溶剤で薄めるので材料費が高くなりやすいですが、水性塗料は水で薄めるので価格が抑えやすいメリットもあります。
水性塗料の主な種類
水性塗料の主な種類は、アクリル系、ウレタン系、シリコン系です。
油性塗料の特徴
油性塗料とは、シンナーを中心に有機溶剤が含まれている塗料であり、耐久性が高く・耐候性などに優れています。しかし、臭いがきつく、価格が高い上に扱いも難しいので注意が必要です。
◆油性塗料のメリット:耐久性・退行性に優れている
油性塗料には有機溶剤が含まれているため、強靭な塗膜を作るのに最適です。
密着性が高く、簡単に剥がれないので耐久性や耐候性が高い塗膜に仕上げられるのがポイントです。
耐久性に関しては一般的に10年~20年以上持つため、塗り替え頻度が少なくなります。
施行中の臭いはきついですが、それ以上に優れた耐久性が得られるのはメリットでしかないでしょう。
◆油性塗料のメリット:施工性が高い
油性塗料の中には下塗りがなくても施工できる塗料があるので、施工性に優れているのがポイントです。
付着しにくい金属にもしっかり吸着しますし、乾燥するのも早いので作業効率がグッと上がります。
塗装後のツヤも長持ちするため、美観を保ちやすいのもメリットです。
油性塗料の主な種類
油性塗料の主な種類は、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、フッ素系の4種類です。
まとめ
屋根用の塗料には、塗料成分の樹脂別、溶剤に種類があり、性能や機能、価格や耐用年数などの観点を比較して選ぶと良いでしょう。
自宅の屋根がどんな塗料に適しているのか分からない場合は、信頼できる塗装業者に相談するのがおすすめです。
建物の屋根や外壁の経年劣化には、高額にはなりますがメンテナンスがどうしても必要になります。
ご予算や耐用年数、塗料機能のどれを重視するのか、専門家のアドバイスを参考にして、最適な塗料を選ばれると良いでしょう。